2.8 コア(PE)の選択

この節では,選択しているマイクロコントローラがマルチコア対応版の場合における,デバッグ対象となるコア(PE:プロセッサ・エレメント)の選択方法について説明します。

CS+では,デバッグ対象とするコア(PE)の選択を切り替えることにより(「2.8.1 コア(PE)を切り替える」参照),PEごとの情報を表示します(PEごとに複数のパネルの表示は行いません)。

なお,マルチコア対応版を対象としたCS+の各機能の振る舞いは次のとおりです。

(1)

プログラムの実行制御

(a)

【Full-spec emulator】【E1】【E20】

プロパティ パネル[デバッグ・ツール設定]タブ上の[マルチコア]カテゴリ内の[デバッグ・モード]プロパティにおいて選択したモードによって制御が異なります。

-

[同期デバッグ・モード]を選択した場合

全PE において,原則として同期実行/同期ブレークを行います。

ステップ実行については,命令レベル単位で1 命令ずつ実行します。

-

[非同期デバッグ・モード]を選択した場合

デバッグ対象として選択したPEのみ実行,ブレークを行います。

注意

ステップ実行は,現在選択しているPEでのみ行います。
ただし,ソース・レベル単位のステップ実行の場合は,選択外のPEが実行される場合があります。

(b)

【シミュレータ】

全PE において,原則として同期実行/同期ブレークを行います。

ステップ実行については,動作周波数に従い同期してステップ実行します。

(2)

イベントの発生

ソフトウェア・ブレークを除く全てのイベントは,デバッグ対象として選択したPEのみに設定します。

ただし,メモリ種別に“(Self)”が付いた内蔵RAM領域に対してソフトウエア・ブレークを設定する場合は,デバッグ対象として選択したPEの領域のみに設定します。

イベント パネルには,全PEに設定したイベントを一覧表示します。

その他のパネルでは,デバッグ対象として選択したPEに設定したイベントのみを表示します。

(3)

メモリ/レジスタ/変数などの情報

(a)

メモリ・マップ

現在選択しているPEにより,メモリ・マップが異なる場合があります。

この場合,プロパティ パネル[デバッグ・ツール設定]タブ上の[メモリ]カテゴリ,およびメモリ・マッピング ダイアログでは,PEを切り替えることによって対応したメモリ・マップを表示します。

(b)

メモリ範囲と値

現在選択しているPEにかかわらず,同じ値を表示/設定します。
ただし,Local RAM self領域については,現在選択しているPEの値を取得し表示/設定します。

(c)

レジスタ(IOR/PCレジスタを含む)の値

現在選択しているPEの値を取得し表示/設定します。

(d)

シンボル(ウォッチ式/変数名を含む)

現在選択しているPEのPC値を基にアドレスと値を決定します(たとえば,シンボルが特定のPEのみで有効であった場合でも,現在選択しているPEを基にアドレスと値を決定します)。

(e)

コール・スタック情報

現在選択しているPEの値を取得し表示/設定します。

(4)

その他の機能

(a)

実行履歴の収集

-

【Full-spec emulator】【E1】【E20】
動作は,プロパティ パネル[デバッグ・ツール設定]タブの[トレース]カテゴリ内[トレースの取得対象]プロパティの指定に依存します。

-

[デバッグ対象のコアのみ]を選択している場合(デフォルト)
現在選択しているPEを対象にトレース・データを収集します。
したがって,目的のトレース・データを収集するためには,プログラムを実行する前に,PEの選択を行う必要があります(トレース・データ収集後にPEを切り替えても,トレース パネルの表示内容は変化しません)。

-

[全てのコア]を選択している場合
全PEを対象にトレース・データの収集を行います。
トレース・データ収集後,トレース パネルでは,PEを切り替えることによって対応したトレース・データを表示します。

-

コア名称を選択している場合
選択したコア名称のトレース・データの収集を行います。

-

【シミュレータ】
現在選択しているPEを対象にトレース・データを収集します。
したがって,目的のトレース・データを収集するためには,プログラムを実行する前に,PEの選択を行う必要があります(トレース・データ収集後にPEを切り替えても,トレース パネルの表示内容は変化しません)。

(b)

実行時間の計測

全PEを対象に実行時間の計測を行います。
計測完了後,PEを切り替えることによって対応した測定結果を表示します。

(c)

カバレッジ測定

全PEのアクセスを対象にカバレッジ測定を行います。
ただし,Local RAM self領域については,現在選択しているPEのアクセスのみを対象に測定結果を表示します。

(d)

パフォーマンス計測

全PE を対象にパフォーマンス計測を行います。
計測完了後,PE を切り替えることによって対応した測定結果を表示します。