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2.4.1 FAAのデバッグ

選択しているマイクロコントローラがFAA(Flexible Application Accelerator)を搭載している場合における,FAA向けのデバッグ機能を有効にする方法,各機能の動作,及び使用上の注意事項について説明します。

 

一部の説明について,FAAのステータスをメイン・ウインドウと同様に以下のように呼称します。

表 2.1

FAAのステータス

内容

FAAのステータス

Standby

FAAにクロックが供給されていない

Disable

FAA動作禁止

Sleep

FAAが低消費電力モード中

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有効にする方法

FAAをデバッグする場合,以下の設定を行います。

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プロパティ パネルの [接続用設定]タブ上の[FAA]カテゴリ

[FAAをデバッグする]プロパティ [はい]

 

上記設定を行うことで, メイン・ウインドウのステータスバーやデバッグ・マネージャ パネルにて,FAAをデバッグ対象として選択することができるようになります。

 

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プロパティ パネルの[ダウンロード・ファイル設定]タブ上の[ダウンロード]カテゴリ
[FAAソース内で定義したコード・セクション名]プロパティ でFAAソース上で定義したコード・セクション名を設定
[FAAソース内で定義したデータ・セクション名]プロパティで FAAソース上で定義したデータ・セクション名を設定

上記設定を行うことで,FAAをデバッグ対象として選択し,エディタパネルでFAAソースを表示した場合に,アドレスカラムにアドレス情報が表示され,FAAソース・レベルでステップ実行等のデバッグ操作を行うことができます。

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各機能の動作について

デバッグ対象としてFAA を選択した場合の各機能の振る舞いは次のとおりです。

(1)

プログラムの実行制御

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プログラム実行開始/停止した場合、FAAのみ実行を開始/停止します。

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CPUは同期して実行を開始/停止しません。
ただし,[デバッグ・ツール設定]タブ[ブレーク]カテゴリ[停止時にFAAを停止する]プロパティで[はい]を指定した場合,CPU停止時にFAAを停止させるかどうか指定することができます。

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ステップ実行では、FAAのみステップ実行を行います。

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FAAがStandby、またはDisableの場合はプログラム実行を開始できません。またステップ実行等、他のデバッグ操作もできません。

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リセット操作では、FAAに対してソフトウェア・リセットを行います。MCU全体はリセットされません。

(2)

イベント

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ハードウエア・ブレーク(4点)、アクション・イベント

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FAAがハードウエア・ブレークを検出して停止した場合、CPUは同期して停止しません。

(3)

メモリ

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メモリパネルでは,FAAの[インストラクション・コード空間],[データ空間]を表示することができます。

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実行中の表示更新はできません。

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以下の設定により,メモリパネル1~4で表示する空間を指定可能です。

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プロパティパネルの[デバッグ・ツール設定]タブ上の[メモリ]カテゴリ
[FAAメモリ空間(メモリn)]プロパティ [メモリn]で表示する空間を指定

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ウォッチパネルの値表示については,以下の通りです。

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即値アドレス指定
[ウォッチn]パネルは[FAAメモリ空間(メモリn)]プロパティにしたがって表示します。

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ラベル指定
ラベルが属するメモリ空間(インストラクション・コード空間/データ空間)にしたがって表示します。

(4)

SFR

FAAがアクセス可能なSFRのみ表示します。

アドレス欄に表示されるアドレスはFAAポインタ,FAAアドレスとなります。

(5)

CPUレジスタ

デバッグ対象として選択した対象に応じてCPUレジスタパネルに一覧を表示します。

(6)

実行時間の計測【シミュレータ】

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デバッグ対象として選択した対象の、実行開始から停止までの時間をイベント・パネルやステータス・バーに表示します。

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FAAについては、実行開始をCPUから行った場合、デバッガから行った場合のどちらについても時間計測が開始されます。

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使用上の注意事項

(1)

本機能を使用しない場合,FAAは他の周辺IPと同様に取り扱います。この場合、FAAに対してデバッグ機能は使用できません。

(2)

FAAのプログラムをデバッガを使用してダウンロードすることはできません。FAAのプログラムは、CPUのプログラムでインストラクション・コード領域に転送して下さい。

(3)

CPUがWINDレジスタを操作するプログラムを実行中は、FAAに対してデバッグ操作を行わないでください。FAAのデバッグ操作によりデバッガが一時的にWINDレジスタを書き換えるため、CPUで実行中のプログラムの動作が不正となる場合があります。

(4)

本機能を使用する場合、以下の機能は使用できません。

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プログラム内へのアクションの設定

(5)

FAAに対して,以下の機能は使用できません

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ソフトウエア・ブレーク

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任意区間の実行時間の計測 【シミュレータ】

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実行履歴の収集

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アクセス系イベント

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ここまで実行

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ステップ・オーバー実行

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リターン・アウト実行

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カバレッジ【シミュレータ】

(6)

シミュレータでは,CPU のトレース機能,タイマ機能が有効な場合,プログラム実行中にデバッグ対象を変更できません。
E2, E2 Lite, COM portでは、プログラム実行中にデバッグ対象を変更できません。

(7)

シミュレータではCPUとFAAは非同期で実行しているため,CPUからFAAを実行する区間を含むCPUのRun-Break時間は正しくありません。

(8)

逆アセンブル パネルで命令コードを編集することはできません。