satadd


飽和加算を行います。(Saturated Add)

[指定形式]

-

satadd reg1, reg2

-

satadd imm, reg2

-

satadd reg1, reg2, reg3

 

immに指定できるものを次に示します。

-

32ビット幅までの値を持つ絶対値式

-

相対値式

[機能]

-

“satadd reg1, reg2”の形式

第1オペランドに指定したレジスタ値と,第2オペランドに指定したレジスタ値を加算し,結果を第2オペランドに指定したレジスタに格納します。ただし,結果が正の最大値0x7FFFFFFFを越えた場合は0x7FFFFFFFを,負の最大値0x80000000を越えた場合は0x80000000を第2オペランドに指定したレジスタに格納し,SATフラグに1を設定します。

-

“satadd imm, reg2”の形式

第1オペランドに指定した絶対値式,または相対値式の値と,第2オペランドに指定したレジスタの値を加算し,結果を第2オペランドに指定したレジスタに格納します。ただし,結果が正の最大値0x7FFFFFFFを越えた場合は0x7FFFFFFFを,負の最大値0x80000000を越えた場合は0x80000000を第2オペランドに指定したレジスタに格納し,SATフラグに1を設定します。

-

“satadd reg1, reg2, reg3”の形式

第1オペランドに指定したレジスタ値と,第2オペランドに指定したレジスタ値を加算し,結果を第3オペランドに指定したレジスタに格納します。ただし,結果が正の最大値0x7FFFFFFFを越えた場合は0x7FFFFFFFを,負の最大値0x80000000を越えた場合は0x80000000を第3オペランドに指定したレジスタに格納し,SATフラグに1を設定します。

[詳細説明]

-

“satadd reg1, reg2”,および“satadd reg1, reg2, reg3”の形式の命令に対し,アセンブラでは,機械語命令のsatadd命令が1つ生成されます。

-

“satadd imm, reg2”の形式でimmに次のものを指定した場合,アセンブラでは,機械語命令のsatadd命令が1つ生成されます。

(a)

-16〜+15の範囲の絶対値式

satadd  imm5, reg
satadd  imm5, reg

機械語命令のsatadd命令は,第1オペランドにレジスタ,または-16〜+15(0xFFFFFFF0〜0xF)の範囲のイミーディエトをとります。

- “satadd imm, reg2”の形式でimmに次のものを指定した場合,アセンブラでは,命令展開が行われ,複数個の機械語命令が生成されます。

(a)

-16〜+15の範囲を越え,-32768〜+32767の範囲の絶対値式

satadd  imm16, reg
movea   imm16, r0, r1
satadd  r1, reg

(b)

-32768〜+32767の範囲を越える絶対値式

immの値の下位16ビットがすべて0の場合

satadd  imm, reg
movhi   HIGHW(imm), r0, r1
satadd  r1, reg

 

上記以外の場合

satadd  imm, reg
mov     imm, r1
satadd  r1, reg

(c)

!label,または%labelを持つ相対値式,およびsdata/sbss属性セクションに定義を持つラベルの$labelを持つ相対値式

satadd  !label, reg
movea   !label, r0, r1
satadd  r1, reg
satadd  %label, reg
movea   %label, r0, r1
satadd  r1, reg
satadd  $label, reg
movea   $label, r0, r1
satadd  r1, reg

(d)

#label,またはlabelを持つ相対値式,およびsdata/sbss属性セクションに定義を持たないラベルの$labelを持つ相対値式

satadd  #label, reg
mov     #label, r1
satadd  r1, reg
satadd  label, reg
mov     label, r1
satadd  r1, reg
satadd  $label, reg
mov     $label, r1
satadd  r1, reg

[フラグ]

CY

MSB(Most Significant Bit)からのキャリーを生じた場合1,そうでない場合0

OV

Integer-Overflowを生じた場合1,そうでない場合0

S

結果が負になった場合1,そうでない場合0

Z

結果が0になった場合1,そうでない場合0

SAT

OV = 1になった場合1,そうでない場合 −

[注意事項]

-

“satadd reg1, reg2”,および“satadd imm, reg2”の形式の命令に対し,第2オペランドにr0を指定すると,次のメッセージが出力され,アセンブルが中止されます。

E0550240 : RH850コア指定時には、デスティネーション・オペランドにr0を指定することはできません。