2.5.1 ダウンロードを実行する

デバッグ対象となるロード・モジュール・ファイルのダウンロードを実行します。

次に示す手順に従って,プロパティ パネル[ダウンロード・ファイル設定]タブにおけるダウンロードのための設定を行ったのち,ダウンロードを実行してください。

注意

デフォルトの設定では,ダウンロード後に自動的にCPUをリセットし,指定シンボルまで実行します。この動作が不要な場合は,[ダウンロード後にCPU をリセットする]プロパティ,および[CPUリセット後に指定シンボル位置まで実行する]プロパティにおいて[いいえ]を選択してください。

(1)

[ダウンロード]カテゴリの設定

図 2.12

[ダウンロード]カテゴリ

(a)

[ダウンロードするファイル]

ダウンロードの対象となるファイル名,およびダウンロード条件を表示します(プロパティ値の“[ ]”内の数値は,現在ダウンロードの対象に指定されているファイル数を示します)。

ダウンロードの対象となるファイルは,メイン・プロジェクト/サブプロジェクトでビルド対象に指定しているファイルが自動的に決定されます注1

ただし,ダウンロードの対象となるファイル,およびダウンロード条件は,手動で変更することができます。この場合は,「2.5.2 応用的なダウンロード方法」を参照してください。注2

注 1.

外部ビルド・ツール(CS+が提供するビルド・ツール以外のコンパイラ/アセンブラなど)により作成されたロード・モジュール・ファイルをダウンロードする場合,デバッグ専用プロジェクトを作成する必要があります。
デバッグ専用プロジェクトをデバッグの対象とする場合では,ユーザが,プロジェクト・ツリー上のダウンロード・ファイル・ノードにダウンロードするファイルを追加することで,ダウンロードの対象となるファイルがこのプロパティに反映されます。
なお,“外部ビルド・ツールの使用”,および“デバッグ専用プロジェクト”についての詳細は,「CS+統合開発環境 ユーザーズマニュアル プロジェクト操作編」を参照してください。

注 2.

エミュレータは外部フラッシュへのダウンロードには対応していません。

(b)

[ダウンロード後にCPU をリセットする]

ダウンロード完了後にCPUをリセットするか否かを指定します。

CPUをリセットする場合は[はい]を選択してください(デフォルト)。

(c)

[ダウンロード前にフラッシュROMを消去する]【Full-spec emulator】【E1】【E20】

ダウンロード実行前にフラッシュROMを消去するか否かを指定します。

フラッシュROMを消去する場合は[はい]を選択してください(デフォルト:[いいえ])。

なお、[はい] を選択した場合、ダウンロード・データが存在する領域のみ消去の対象となります。

(d)

[イベント設定位置の自動変更方法]

デバッグ作業を進めることにより,変更を加えたプログラムを再ダウンロードした場合,現在設定されているイベントの設定位置(アドレス)が命令の途中になる場合があります。この場合の対象イベントの扱いをこのプロパティで指定します。

次のドロップダウン・リストによりどちらかを選択してください。

命令の先頭に移動する

命令の先頭アドレスに対象イベントを再設定します。

イベントを保留にする

対象イベントを保留状態にします(デフォルト)。

 

ただし,このプロパティでの指定は,デバッグ情報のないイベント設定位置に対してのみ適用されます。デバッグ情報があるイベント設定位置の場合は,常にソース・テキスト行の先頭に移動します。

(e)

[Configuration Setting Areaへのダウンロードを許可する]【E2】【IE850A】

Configuration Setting Areaへのダウンロードを許可するかどうかを選択します。

Configuration Setting Areaへのダウンロードを許可する場合は[はい]を選択してください(デフォルト:[いいえ])。

Configuration Setting Areaへダウンロードした場合,ダウンロード後にデバッグ・ツールの再接続を実施してください。

なお,このプロパティは,ダウンロード後,自動的に[いいえ]に設定されます。

また,このプロパティは,プロジェクト・ファイルに保存されません。

(f)

[Block Protection Areaへのダウンロードを許可する]【E2】【IE850A】

Block Protection Areaへのダウンロードを許可するかどうかを選択します。

Block Protection Areaへのダウンロードを許可する場合は[はい]を選択してください(デフォルト:[いいえ])。

Block Protection Areaへダウンロードした場合,ダウンロード後にデバッグ・ツールの再接続を実施してください。

なお,このプロパティは,ダウンロード後,自動的に[いいえ]に設定されます。

また,このプロパティは,プロジェクト・ファイルに保存されません。

(g)

[Security Setting Areaへのダウンロードを許可する]【E2】【IE850A】

Security Setting Areaへのダウンロードを許可するかどうかを選択します。

Security Setting Areaへのダウンロードを許可する場合は[はい]を選択してください(デフォルト:[いいえ])。

Security Setting Areaへダウンロードした場合,ダウンロード後にデバッグ・ツールの再接続を実施してください。

なお,このプロパティは,ダウンロード後,自動的に[いいえ]に設定されます。

また,このプロパティは,プロジェクト・ファイルに保存されません。

(2)

[デバッグ情報]カテゴリの設定

図 2.13

[デバッグ情報]カテゴリ

(a)

[CPUリセット後に指定シンボル位置まで実行する]

CPUリセット後,またはダウンロード完了後([ダウンロード後にCPU をリセットする]プロパティで[はい]を選択している場合のみ)に,プログラムを指定シンボル位置まで実行するか否かを指定します。

プログラムを指定シンボル位置まで実行する場合は[はい]を選択してください(デフォルト)。

備考

[ダウンロード後にCPU をリセットする]プロパティで[はい]を選択している場合では,このプロパティで[はい]を選択すると,ダウンロード完了後,[指定シンボル]プロパティで指定した位置のソース・テキストを表示した状態でエディタ パネルが自動的にオープンします。
また,[いいえ]を選択した場合では,リセット番地を表示した状態で同パネルがオープンします(リセット番地にソース・テキストが割り付けられていない場合は,逆アセンブル パネルで該当箇所を表示します)。

(b)

[指定シンボル]

このプロパティは,[CPUリセット後に指定シンボル位置まで実行する]プロパティにおいて[はい]を選択した場合のみ表示されます。

CPUリセット後にプログラムを実行して停止する位置を指定します。

直接入力により,0〜“アドレス空間の終了アドレス”の範囲のアドレス式で指定してください(デフォルト:[_main])。

ただし,指定したアドレス式がアドレスに変換できない場合,プログラムは実行されません。

備考

通常,次を指定します。
アセンブリ・ソースの場合 : メイン関数に相当する先頭ラベル
Cソースの場合 : メイン関数名の先頭に付与したシンボル

(c)

[メモリ使用量の上限サイズ[Mバイト]]

デバッグ情報を読み込む際に使用するメモリ・サイズの上限値を指定します。

使用したメモリ・サイズがここで指定した上限値を越えた場合,上限値の1/2以下のメモリ・サイズになるまで読み込んだデバッグ情報を破棄することでメモリを開放します(メモリ不足が発生する場合,上限値を小さくすることで改善される可能性があります)。

直接入力により,100〜1000(単位:Mバイト)の範囲の10進数値で指定してください(デフォルト:[500])。

注意

上限値を小さくした場合,デバッグ情報の破棄と再読み込みが頻繁に行われるため,デバッグ・ツールの応答性が低下する場合があります。

(3)

ダウンロードの実行

デバッグ・ツールバー ボタンをクリックします。

なお,デバッグ・ツールと切断時にこの操作が行われた場合は,自動的にデバッグ・ツールと接続したのち,ダウンロードを実行します。

備考

デバッグ作業を進めることにより,変更を加えたプログラムを再ダウンロードする場合は,メイン・ウインドウ上の[デバッグ]メニュー→[ビルド&デバッグ・ツールへダウンロード]を選択することにより,ビルド→ダウンロードを容易に行うことができます。

(4)

ダウンロードの中断

ダウンロードの実行を中断する場合は,ダウンロードの進捗状況を表示する処理中表示 ダイアログの[キャンセル]ボタンをクリック,または[Esc]キーを押下します。

 

ロード・モジュール・ファイルのダウンロードが成功すると,エディタ パネルが自動的にオープンし,ダウンロードしたファイルのソース・テキストが表示されます。

備考

ダウンロードの実行前/実行後に,I/Oレジスタ/CPUレジスタ値を指定した値に自動的に書き換える処理を設定することができます(「2.19 フック処理を設定する」参照)。