Everything

.SECTION


アセンブラにセクションの開始を指示します。

[指定形式]

シンボル欄
ニモニック欄
オペランド欄
コメント欄
[ラベル:]
.SECTION
セクション名, 再配置属性
[; コメント]

[機能]

-

.SECTION疑似命令は,アセンブラにセクション(コード,データの区別なし)の開始を指示します。

[詳細説明]

-

プログラム中のひとつのまとまった機能を持つプログラム,およびデータを.SECTION疑似命令により定義します。
本疑似命令は,次にセクション定義疑似命令が記述されるまで有効です。

-

ソース・プログラムの先頭でセクション定義疑似命令が出現する前に,ラベル,またはオブジェクト・コードを出力する命令が記述された場合は,デフォルト・セクションとしてリロケータブルなコード・セクションを生成します。
この時のセクション名は”.text”,再配置属性は”TEXT”となります。

-

.SECTION疑似命令は,オペランド欄の再配置属性にAT,DATA_AT,BSS_AT,BIT_ATを指定することにより,開始アドレスを指定することができます。また,.ORG疑似命令により開始アドレスを指定することもできます。
このときのセクション名は,オペランドに指定されたセクション名+“_AT”+指定アドレス(ただし,prefix(0x,0X)およびsuffix(h,H)が付かない大文字の16進表記)となります。

-

次に,再配置属性を示します。
下記以外の再配置属性が指定された場合はエラーとなります。

表 5.15

再配置属性

再配置属性

記述形式

デフォルトのセクション名

説明

整列条件のデフォルト値注1

CALLT0

CALLT0

.callt0

セクションをコード・フラッシュ領域注2内の0x00080~0x000BF番地内で先頭が偶数番地になるように配置します。

2

TEXT

TEXT

.text

セクションをコード・フラッシュ領域注2内の0x000C0~0x0FFFF番地内に配置します。

1

TEXTF

TEXTF

.textf

セクションをコード・フラッシュ領域注2内の0x000C0~0xEFFFF番地内に配置します。

1

TEXTF_UNIT64KP

TEXTF_UNIT64KP

.textf_unit64kp

セクションを先頭が偶数番地になるように,64KB-1境界注3にまたがらないように配置します。

2注4

CONST

CONST

.const

セクションをミラー元領域注2に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。

2

CONSTF

CONSTF

.constf

セクションをコード・フラッシュ領域注2内で先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。

2

SDATA

SDATA

.sdata

初期値を持つデータ用のセクションをsaddr領域注2内で先頭が偶数番地になるように配置します。

2

SBSS

SBSS

.sbss

初期値を持たないデータ用のセクションをsaddr領域注2内で先頭が偶数番地になるように配置します。注8

2

SBSS_BIT

SBSS_BIT

.sbss_bit

初期値を持たないビット用のセクションをsaddr領域注2内で先頭が偶数番地になるように配置します。最適化リンカは本セクションをバイト単位で結合し,再配置属性をSBSSとして扱います。注8注9

2

DATA

DATA

.data

初期値を持つデータ用のセクションをRAM領域注2内の0xF0000~0xFFFFF番地内に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。

2

BSS

BSS

.bss

初期値を持たないデータ用のセクションをRAM領域注2内の0xF0000~0xFFFFF番地内に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。注8

2

BSS_BIT

BSS_BIT

.bss_bit

初期値を持たないビット用のセクションをRAM領域注2内の0xF0000~0xFFFFF番地内に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。最適化リンカは本セクションをバイト単位で結合し,再配置属性をBSSとして扱います。注8注10

2

DATAF

DATAF

.dataf

初期値を持つデータ用のセクションを先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。

2

BSSF

BSSF

.bssf

初期値を持たないデータ用のセクションを先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。

2

AT△アドレス

AT 絶対式注5

なし

セクションを指定番地に配置します。

1(固定)

DATA_AT△アドレス

DATA_AT 絶対式注5

なし

初期値を持つデータ用のセクションを指定番地に配置します。

1(固定)

BSS_AT△アドレス

BSS_AT 絶対式注5

なし

初期値を持たないデータ用のセクションを指定番地に配置します。注8

1(固定)

BIT_AT△アドレス

BIT_AT 絶対式注5

なし

初期値を持たないビット用のセクションを指定番地に配置します。最適化リンカは本セクションをバイト単位で結合し,再配置属性をBSS_ATとして扱います。注8注11

1(固定)

OPT_BYTE

OPT_BYTE

.option_byte注6

ユーザ・オプション・バイト,およびオンチップ・デバッグ指定専用の属性注7です。

サイズは4バイト固定です。

1(固定)

SECUR_ID

SECUR_ID

.security_id注6

セキュリティID指定専用の属性注7です。

機械語命令は記述できません。

サイズは10バイト固定です。

1(固定)

注 1.

整列条件は.ALIGN疑似命令にて変更することができます。

注 2.

コード・フラッシュ領域,ミラー領域,RAM領域,saddr領域についてはデバイスのユーザーズ・マニュアルを参照してください。ただし,RAM領域については,アドレス範囲が0xF0000~0xFFFFFである内部RAMのみサポートします。

注 3.

配置の境界制限について,デフォルトの設定を64KB - 1境界とします。

注 4.

16ビット・データへのアクセスを保証するため,整列条件を「2」とします。

注 5.

絶対式として不正な記述をした場合,または0x00000~0xFFFFFの範囲を越える場合はエラーとなります。

注 6.

特別なセクションのため,セクション名の変更を禁止とし,セクション名固定とします。

注 7.

オプション・バイト,およびオンチップ・デバッグ,セキュリティIDの配置先アドレスについてはデバイスのユーザーズ・マニュアルを参照してください。

注 8.

再配置属性SBSSとSBSS_BIT,再配置属性BSSとBSS_BIT,再配置属性BSS_ATとBIT_ATの同名セクションは,アセンブラ内部で連続した1つのセクションとして処理します。

注 9.

セクションを再配置属性SBSSとしてオブジェクト・ファイルに出力し,最適化リンカは再配置属性SBSSとして配置します。

注 10.

セクションを再配置属性BSSとしてオブジェクト・ファイルに出力し,最適化リンカは再配置属性BSSとして配置します。

注 11.

セクションを再配置属性BSS_ATとしてオブジェクト・ファイルに出力し,最適化リンカは再配置属性BSS_ATとして配置します。

-

セクション名の指定は省略できません。

-

再配置属性の指定は省略できません。

-

セクション名に指定可能な文字は下記です。

-

英数字(0~9, a~z,A~Z)

-

英字相当文字(@, _,.)

[使用例]

TEXT属性のセクション“.text”を定義

.SECTION        .text , TEXT
NOP

 

DATA属性のセクション“data”を定義

.SECTION        data, DATA
.DB2            0x1

 

DATA_AT属性のセクション”EX”を0xf2000番地指定で定義

セクション名は“EX_ATF2000”となります。

.SECTION        EX, DATA_AT     0xf2000
.DS             4