Everything
2.17 消費電流測定【E2】【シミュレータ】

消費電流測定は,デバッグ対象のシステム全体の消費電流値【E2】,またはマイコン内の周辺モジュールの消費電流値【シミュレータ】を測定する機能です。

備考

シミュレータの消費電流測定は周辺機能シミュレーション対応のデバイスでのみ対応しています。対応製品については弊社ホームページで確認してください。

 

[使い方]

E2エミュレータ使用時とシミュレータ使用時では測定対象が異なります。

また,使い方も異なるため,それぞれについて説明します。

 

 

-

E2エミュレータ使用時

E2エミュレータの消費電流測定は,ターゲット・システム全体の電流値を測定します。

E2エミュレータのターゲットへの電源供給機能とE2拡張インタフェースを利用して実現しています。

本機能を使用する場合は,必ずデバッグ・ツール接続前に,プロパティ パネル[接続用設定]タブ上の[エミュレータからの電源供給をする(最大200mA)]プロパティを[はい]に,[E2拡張インタフェースを使用する]プロパティを[エミュレータからの電源供給で使用する]に設定してください。

(1)

消費電流測定 パネルを開く

デバッグ・ツールにE2エミュレータを選択し,ソリューション一覧 パネルを開き,消費電流測定の[GO]ボタンをクリックすると,消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】が開きます。

図 2.116

消費電流測定 パネル【E2】

(2)

条件(測定条件,トリガ条件,通過ポイント)を設定する

消費電流測定では,事前に条件を設定することで,検出したい電流値の遷移のパターンをとらえることが可能となります。事前に設定可能な条件は,大きく分けて測定条件,トリガ条件,通過ポイントです。

備考

条件はデフォルトで以下のように設定されています。

記録メモリを使い切った後の動作:記録メモリを上書きして実行し続ける

サンプリング時間:10us

取得の条件:すべて

トリガ機能を使用しない

通過ポイントの設定なし

 

試しに測定のみを行いたい場合は,「(3) 測定を開始する」から行ってください。

(a)

測定条件を設定する

電流測定値の記録に関する条件を設定します。

設定は消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】のツールバーの をクリックして表示される消費電流測定条件設定 ダイアログ【E2】で行います。

図 2.117

消費電流測定条件設定 ダイアログ

<1>

記録メモリを使い切った後の動作を選択する

電流値を記録するE2エミュレータ内のメモリを使い切った後の動作を以下から選択します。

-

記録メモリを上書きして実行し続ける

-

記録を停止する(プログラムの実行は継続)

-

プログラムを停止する

<2>

サンプリング時間を選択する

以下の中から測定のサンプリング時間を選択します。

1us,2us,5us,10us,20us,50us,100us,200us,500us,1ms

<3>

取得条件を選択する

特定の条件を満たしたときにのみ,電流値をE2エミュレータ内のメモリに記録するように設定することができます。

条件は以下の中から選択可能です。

-

すべて

特定の条件を指定せず,測定開始後にサンプリングした電流値をすべて記録します。

-

外部トリガ入力検出中

E2拡張インタフェースの外部トリガ入力機能を用いて,指定した信号を検出している間のみ記録します。

本項目を指定した場合,検出対象の外部トリガ入力のチャネルと検出する信号のレベルを指定する必要があります。

また,デバッグ・ツールの接続前に外部トリガ入力の設定を正しく行っている必要があります。

備考

E2拡張インタフェースの外部トリガ入力機能の設定についての詳細は,「消費電流チューニングソリューション(E2エミュレータ、CS+編) アプリケーションノート」を参照してください。

-

通過ポイント間

[通過ポイント範囲]の左側の入力欄に指定した通過ポイントを開始条件,右側の入力欄に指定した通過ポイントを終了条件とします。

開始条件に指定した通過ポイントが検出されてから,終了条件に指定した通過ポイントが検出されるまでの間の電流値を記録します。

通過ポイントについての詳細は,「(c) 通過ポイントを設定する」を参照してください。

(b)

トリガ条件を設定する

測定中に電流値が特定の条件を満たしたことをトリガとして,プログラム停止やE2エミュレータによる外部トリガ出力が可能です。

設定は消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】のツールバーの のクリックで表示される消費電流測定トリガ条件設定 ダイアログ【E2】で行います。

図 2.118

消費電流測定トリガ条件設定 ダイアログ

<1>

トリガ機能を使用するかどうかを設定する

トリガ機能を使用する場合は,[トリガ機能を使用する]をチェックしてください。

デフォルトではチェックされていません。

<2>

トリガの動作を設定する

トリガ検出時の動作を以下の中から選択します。

-

プログラムを停止する

プログラムの実行を停止します。

-

外部トリガを出力する

E2拡張インタフェースの外部トリガを出力します。

 

外部トリガを出力する場合は,以下の設定を行います。

-

チャネルを選択する

E2拡張インタフェースの外部トリガを出力するチャネルを指定します。

-

出力する信号を選択する

Highパルスを出力するか,条件が成立している間Highレベルを出力し続けるかを選択します。

Highパルスを出力する場合は,パルス幅も指定してください。

備考

外部トリガ出力機能についての詳細は,「消費電流チューニングソリューション(E2エミュレータ、CS+編) アプリケーションノート」を参照してください。

<3>

トリガの条件を設定する

トリガの条件として,電流値がしきい値以上,しきい値以下,範囲内,範囲外が選択可能です。

それぞれトリガとして検出したい電流値,または電流値の範囲を指定してください。

注意

電流値の範囲は,左側の入力欄の値が右側の入力欄の値より小さくなるようにしてください。

 

また,電流値の条件だけでなく,その条件を満たした時間に関するサブ条件(検出幅の条件)も設定できます。検出幅を指定すると,一瞬だけ条件を満たすようなノイズを無視することができます。

検出幅の条件は,しきい値以上(条件が指定した時間以上続いた場合に検出する),または範囲内(条件が指定した時間の範囲内の場合に検出)から選択できます。

 

検出幅には,サンプリング時間の倍数を指定します。

実際に検出対象となる時間はサンプリング時間によって変化しますので注意してください。

(c)

通過ポイントを設定する

通過ポイントは,指定したソース行が実行された際にタイムスタンプを記録する機能です。

通過ポイントを設定することにより,消費電流測定のグラフ上で通過ポイントの実行時間と電流値の遷移をあわせて確認することができます。

通過ポイントはグラフ上で色付きの縦線として確認できます。

備考

通過ポイントはRL78/G10のデバイスには対応していません。

図 2.119

通過ポイント

 

通過ポイントの設定は,エディタ パネル上で開いた対象ソースの行にキャレットを合わせ,コンテキスト・メニューの[通過ポイント設定]で行います。

図 2.120

エディタ パネルのコンテキスト・メニュー

 

現在設定されている通過ポイントの一覧は,消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】の下部に表示されます。

設定済みの通過ポイントの有効/無効の切り替えは,この一覧の左端のチェック・ボックス,またはエディタ パネル上のコンテキスト・メニューから行います。

図 2.121

通過ポイント一覧

 

通過ポイントはNOP命令の位置に設定する必要があります。設定位置がNOP命令上でない場合,NOP命令上であってもデバッグ・ツールがNOP命令を検出できない場合などは,測定開始時に強制的に無効になります。

ただし,プロジェクトで使用するコンパイラがCC-RL V1.05.00以上,および設定位置がアクティブ・プロジェクトに登録しているソース・ファイル上の場合は,測定前に自動で通過ポイント設定位置にNOP命令を挿入し,リビルド&ダウンロードすることができます。この場合は任意の位置に設定した通過ポイントを有効にできます。なお,プロパティ パネル[ダウンロード・ファイル設定]タブ上の[ダウンロード]カテゴリ内の[ダウンロード後にCPUをリセットする]プロパティが[はい]の場合,リビルド&ダウンロードでリセットされるため,注意してください。

(3)

測定を開始する

E2エミュレータの機能を使用してターゲット・システム消費電流測定を開始します。

消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】のツールバーの ,または をクリックすることで測定が開始されます。

図 2.122

消費電流測定 パネルのツールバー【E2】

 

注意

メイン・ウインドウ上の のクリックで開始する実行では,消費電流は測定しません。

 

(a)

をクリックした場合

測定前のリビルド&ダウンロード行った後に,測定を開始します。

ただし,デバイスが通過ポイントに対応していない場合や,アクティブ・プロジェクトのコンパイラがCC-RLV1.05.00未満のバージョンの場合は,リビルド&ダウンロードを行いません。

消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】の[測定時に指定した通過ポイント用ビルド・オプションを今後も付加する]をチェックしている場合,測定前のリビルド&ダウンロードで指定したオプションがビルド・ツールの[消費電流測定用のNOP命令挿入のパラメータ]プロパティに反映されます。

(b)

をクリックした場合

測定前のリビルド&ダウンロードは行いません。

リビルド&ダウンロードに伴うリセットを発生させずに測定したい場合はこちらを選択してください。

なお,本ボタンは,デバイスが通過ポイントに対応していない場合やアクティブ・プロジェクトのコンパイラがCC-RLV1.05.00未満のバージョンの場合は表示されません。

(4)

測定を終了する

測定はプログラムの実行停止と同時に終了します。

プログラムの実行停止は,ブレークポイントやトリガ条件の設定,または をクリックすることで行うことができます。

(5)

グラフを表示する

測定終了と同時に,消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】のグラフ表示エリアに測定結果の電流値グラフが表示されます。

意図したとおりの電流値となっているか確認してください。

 

パネル上では,カーソル(赤い縦線)をドラッグすることで,カーソル位置の時間や電流値が情報表示エリアに表示されます。

検索を使用すると,検索条件にヒットした位置にカーソルが移動しますので,その位置の時間や電流値が確認できます。

マーカーA,マーカーB(緑の縦破線)をドラッグすることで,マーカー間の電流の平均値/最大値などを確認することもできます。

また,通過ポイントを対象に検索することで,確認したい処理が実行された位置をすぐに表示することができます。

 

 

-

シミュレータ使用時

シミュレータの消費電流測定は,MCU内部の消費電流値をシミュレーションして表示します。

(1)

消費電流測定 パネルを開く

デバッグ・ツールにシミュレータを選択し,ソリューション一覧 パネルを開き,消費電流測定の[GO]ボタンをクリックすると,消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】が開きます。

図 2.123

消費電流測定 パネル【シミュレータ】

(2)

消費電流測定を有効にする

消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】のツールバーの で消費電流測定機能の有効/無効を切り替えます。

有効にすることで,実行時に消費電流値をシミュレーションします。

図 2.124

消費電流測定 パネルのツールバー【シミュレータ】

 

備考

デバッグ・ツールに接続した直後は無効になっています。

 

(3)

測定を開始する

消費電流測定機能を有効にした後は,メイン・ウインドウのツールバーの のクリックなどによる通常のデバッガ実行中に測定が行われます。

備考

このほかにも,ソース・レベルのステップ実行のような,デバッグ・ツールが実行状態になる操作でも測定が行われます。

(4)

測定を終了する

測定はプログラムの実行停止と同時に終了します。

プログラムの実行停止は,ブレークポイントの設定,または をクリックすることで行うことができます。

(5)

グラフを表示する

測定終了と同時に,消費電流測定 パネル【E2】【シミュレータ】のグラフ表示エリアに測定結果の電流値グラフが表示されます。

意図したとおりの電流値となっているか確認してください。

 

パネル上では,カーソル(赤い縦線)をドラッグすることで,カーソル位置の時間や電流値が情報表示エリアに表示されます。

検索を使用すると,検索条件にヒットした位置にカーソルが移動しますので,その位置の時間や電流値が確認できます。

マーカーA,マーカーB(緑の縦破線)をドラッグすることで,マーカー間の電流の平均値/最大値などを確認することもできます。

また,グラフ上のポイントにマウス・オーバーすると,その時点の周辺モジュール毎の消費電流値がポップアップ表示されます。意図したとおりのモジュールが有効になっているかを確認することができます。

図 2.125

モジュール毎の消費電流値表示