アセンブラにセクションの開始を指示します。
[指定形式]
シンボル欄
|
ニモニック欄
|
オペランド欄
|
コメント欄
|
[ラベル:]
|
.SECTION
|
セクション名, 再配置属性
|
[; コメント]
|
[機能]
- | .SECTION疑似命令は,アセンブラにセクション(コード,データの区別なし)の開始を指示します。 |
[詳細説明]
- | プログラム中のひとつのまとまった機能を持つプログラム,およびデータを.SECTION疑似命令により定義します。
本疑似命令は,次にセクション定義疑似命令が記述されるまで有効です。 |
- | ソース・プログラムの先頭でセクション定義疑似命令が出現する前に,ラベル,またはオブジェクト・コードを出力する命令が記述された場合は,デフォルト・セクションとしてリロケータブルなコード・セクションを生成します。
この時のセクション名は”.text”,再配置属性は”TEXT”となります。 |
- | .SECTION疑似命令は,オペランド欄の再配置属性にAT,DATA_AT,BSS_AT,BIT_ATを指定することにより,開始アドレスを指定することができます。また,.ORG疑似命令により開始アドレスを指定することもできます。
このときのセクション名は,オペランドに指定されたセクション名+“_AT”+指定アドレス(ただし,prefix(0x,0X)およびsuffix(h,H)が付かない大文字の16進表記)となります。 |
- | 次に,再配置属性を示します。
下記以外の再配置属性が指定された場合はエラーとなります。 |
|
|
|
|
|
CALLT0
|
CALLT0
|
.callt0
|
セクションをコード・フラッシュ領域注2内の0x00080〜0x000BF番地内で先頭が偶数番地になるように配置します。
|
2
|
TEXT
|
TEXT
|
.text
|
セクションをコード・フラッシュ領域注2内の0x000C0〜0x0FFFF番地内に配置します。
|
1
|
TEXTF
|
TEXTF
|
.textf
|
セクションをコード・フラッシュ領域注2内の0x000C0〜0xEFFFF番地内に配置します。
|
1
|
TEXTF_UNIT64KP
|
TEXTF_UNIT64KP
|
.textf_unit64kp
|
セクションを先頭が偶数番地になるように,64KB-1境界注3にまたがらないように配置します。
|
2注4
|
CONST
|
CONST
|
.const
|
セクションをミラー元領域注2に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。
|
2
|
CONSTF
|
CONSTF
|
.constf
|
セクションをコード・フラッシュ領域注2内で先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。
|
2
|
SDATA
|
SDATA
|
.sdata
|
初期値を持つデータ用のセクションをsaddr領域注2内で先頭が偶数番地になるように配置します。
|
2
|
SBSS
|
SBSS
|
.sbss
|
初期値を持たないデータ用のセクションをsaddr領域注2内で先頭が偶数番地になるように配置します。注8
|
2
|
SBSS_BIT
|
SBSS_BIT
|
.sbss_bit
|
初期値を持たないビット用のセクションをsaddr領域注2内で先頭が偶数番地になるように配置します。最適化リンカは本セクションをバイト単位で結合し,再配置属性をSBSSとして扱います。注8注9
|
2
|
DATA
|
DATA
|
.data
|
初期値を持つデータ用のセクションをRAM領域注2内の0xF0000〜0xFFFFF番地内に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。
|
2
|
BSS
|
BSS
|
.bss
|
初期値を持たないデータ用のセクションをRAM領域注2内の0xF0000〜0xFFFFF番地内に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。注8
|
2
|
BSS_BIT
|
BSS_BIT
|
.bss_bit
|
初期値を持たないビット用のセクションをRAM領域注2内の0xF0000〜0xFFFFF番地内に,先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。最適化リンカは本セクションをバイト単位で結合し,再配置属性をBSSとして扱います。注8注10
|
2
|
DATAF
|
DATAF
|
.dataf
|
初期値を持つデータ用のセクションを先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。
|
2
|
BSSF
|
BSSF
|
.bssf
|
初期値を持たないデータ用のセクションを先頭が偶数番地になるように,64KB - 1境界注3にまたがらないように配置します。
|
2
|
AT△アドレス
|
AT 絶対式注5
|
なし
|
セクションを指定番地に配置します。
|
1(固定)
|
DATA_AT△アドレス
|
DATA_AT 絶対式注5
|
なし
|
初期値を持つデータ用のセクションを指定番地に配置します。
|
1(固定)
|
BSS_AT△アドレス
|
BSS_AT 絶対式注5
|
なし
|
初期値を持たないデータ用のセクションを指定番地に配置します。注8
|
1(固定)
|
BIT_AT△アドレス
|
BIT_AT 絶対式注5
|
なし
|
初期値を持たないビット用のセクションを指定番地に配置します。最適化リンカは本セクションをバイト単位で結合し,再配置属性をBSS_ATとして扱います。注8注11
|
1(固定)
|
OPT_BYTE
|
OPT_BYTE
|
.option_byte注6
|
ユーザ・オプション・バイト,およびオンチップ・デバッグ指定専用の属性注7です。
サイズは4バイト固定です。
|
1(固定)
|
SECUR_ID
|
SECUR_ID
|
.security_id注6
|
セキュリティID指定専用の属性注7です。
機械語命令は記述できません。
サイズは10バイト固定です。
|
1(固定)
|
注 1. | 整列条件は.ALIGN疑似命令にて変更することができます。 |
注 2. | コード・フラッシュ領域,ミラー領域,RAM領域,saddr領域についてはデバイスのユーザーズ・マニュアルを参照してください。ただし,RAM領域については,アドレス範囲が0xF0000〜0xFFFFFである内部RAMのみサポートします。 |
注 3. | 配置の境界制限について,デフォルトの設定を64KB - 1境界とします。 |
注 4. | 16ビット・データへのアクセスを保証するため,整列条件を「2」とします。 |
注 5. | 絶対式として不正な記述をした場合,または0x00000〜0xFFFFFの範囲を越える場合はエラーとなります。 |
注 6. | 特別なセクションのため,セクション名の変更を禁止とし,セクション名固定とします。 |
注 7. | オプション・バイト,およびオンチップ・デバッグ,セキュリティIDの配置先アドレスについてはデバイスのユーザーズ・マニュアルを参照してください。 |
注 8. | 再配置属性SBSSとSBSS_BIT,再配置属性BSSとBSS_BIT,再配置属性BSS_ATとBIT_ATの同名セクションは,アセンブラ内部で連続した1つのセクションとして処理します。 |
注 9. | セクションを再配置属性SBSSとしてオブジェクト・ファイルに出力し,最適化リンカは再配置属性SBSSとして配置します。 |
注 10. | セクションを再配置属性BSSとしてオブジェクト・ファイルに出力し,最適化リンカは再配置属性BSSとして配置します。 |
注 11. | セクションを再配置属性BSS_ATとしてオブジェクト・ファイルに出力し,最適化リンカは再配置属性BSS_ATとして配置します。 |
[使用例]
TEXT属性のセクション“.text”を定義
.SECTION .text , TEXT
NOP
|
DATA属性のセクション“data”を定義
.SECTION data, DATA
.DB2 0x1
|
DATA_AT属性のセクション”EX”を0xf2000番地指定で定義
セクション名は“EX_ATF2000”となります。
.SECTION EX, DATA_AT 0xf2000
.DS 4
|