5.4 データ・キュー
マルチタスク処理では,あるタスクの処理結果を他タスクに通知するといったタスク間の通信機能(データの受け渡し機能)が必要となります。そこで,RI78V4では,規定されたデータ・サイズの通信機能として“データの書き込み/読み出しが可能なデータ・キュー領域を有するデータ・キュー”を提供しています。
- snd_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,データの書き込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの送信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からWAITING状態(データ送信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ送信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ送信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,データの書き込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの送信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からWAITING状態(データ送信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ送信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ送信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
また,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューの受信待ちキューにタスクがキューイングされていた場合には,データの書き込みは行わず,該当タスクにデータを渡します。これにより,該当タスクは,受信待ちキューから外れ,WAITING状態(データ受信待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT data = 123; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ ercd = snd_dtq ( dtqid, data ); /*データの送信*/ if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ ............ } ............ ............ } |
- psnd_dtq,ipsnd_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,データの書き込みは行わず,戻り値としてE_TMOUTを返します。
また,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューの受信待ちキューにタスクがキューイングされていた場合には,データの書き込みは行わず,該当タスクにデータを渡します。これにより,該当タスクは,受信待ちキューから外れ,WAITING状態(データ受信待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,データの書き込みは行わず,戻り値としてE_TMOUTを返します。
また,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューの受信待ちキューにタスクがキューイングされていた場合には,データの書き込みは行わず,該当タスクにデータを渡します。これにより,該当タスクは,受信待ちキューから外れ,WAITING状態(データ受信待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT data = 123; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ ercd = psnd_dtq ( dtqid, data );/*データの送信(ポーリング)*/ if ( ercd == E_OK ) { ............ /*ポーリング成功処理*/ ............ } else if ( ercd == E_TMOUT ) { ............ /*ポーリング失敗処理*/ ............ } ............ ............ } |
- tsnd_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,データの書き込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの送信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からタイムアウト付きのWAITING状態(データ送信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ送信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ送信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,データの書き込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの送信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からタイムアウト付きのWAITING状態(データ送信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ送信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ送信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
また,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューの受信待ちキューにタスクがキューイングされていた場合には,データの書き込みは行わず,該当タスクにデータを渡します。これにより,該当タスクは,受信待ちキューから外れ,WAITING状態(データ受信待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT data = 123; /*変数の宣言,初期化*/ TMO tmout = 3600; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ /*データの送信(タイムアウト付き)*/ ercd = tsnd_dtq ( dtqid, data, tmout ); if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_TMOUT ) { ............ /*タイムアウト処理*/ ............ } ............ ............ } |
- fsnd_dtq,ifsnd_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,書き込まれてから最も時間が経過しているデータの領域に該当データを上書きします。
また,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューの受信待ちキューにタスクがキューイングされていた場合には,データの書き込みは行わず,該当タスクにデータを渡します。これにより,該当タスクは,受信待ちキューから外れ,WAITING状態(データ受信待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域にパラメータdataで指定されたデータを書き込みます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域にデータを書き込むための空き領域が存在しなかった場合には,書き込まれてから最も時間が経過しているデータの領域に該当データを上書きします。
また,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューの受信待ちキューにタスクがキューイングされていた場合には,データの書き込みは行わず,該当タスクにデータを渡します。これにより,該当タスクは,受信待ちキューから外れ,WAITING状態(データ受信待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT data = 123; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ fsnd_dtq ( dtqid, data ); /*データの強制送信*/ ............ ............ } |
- rcv_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込み,パラメータp_dataで指定された領域に格納します。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合には,データの読み込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの受信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からWAITING状態(データ受信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ受信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ受信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込み,パラメータp_dataで指定された領域に格納します。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合には,データの読み込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの受信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からWAITING状態(データ受信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ受信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ受信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT p_data; /*変数の宣言*/ ............ ............ /*データの受信*/ ercd = rcv_dtq ( dtqid, &p_data ); if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ ............ } ............ ............ } |
- prcv_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込み,パラメータp_dataで指定された領域に格納します。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合には,データの読み込みは行わず,戻り値としてE_TMOUTを返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込み,パラメータp_dataで指定された領域に格納します。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合には,データの読み込みは行わず,戻り値としてE_TMOUTを返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT p_data; /*変数の宣言*/ ............ ............ /*データの受信(ポーリング)*/ ercd = prcv_dtq ( dtqid, &p_data ); if ( ercd == E_OK ) { ............ /*ポーリング成功処理*/ ............ } else if ( ercd == E_TMOUT ) { ............ /*ポーリング失敗処理*/ ............ } ............ ............ } |
備考 本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合,パラメータp_dataで指定された領域の内容は不定となります。
- trcv_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込み,パラメータp_dataで指定された領域に格納します。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合には,データの読み込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの受信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からタイムアウト付きのWAITING状態(データ受信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ受信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ受信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込み,パラメータp_dataで指定された領域に格納します。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象データ・キューのデータ・キュー領域からデータを読み込むことができなかった(データ・キュー領域にデータが書き込まれていなかった)場合には,データの読み込みは行わず,自タスクを対象データ・キューの受信待ちキューにキューイングしたのち,RUNNING状態からタイムアウト付きのWAITING状態(データ受信待ち状態)へと遷移させます。
なお,データ受信待ち状態の解除は,以下の場合に行われ,データ受信待ち状態からREADY状態へと遷移します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ VP_INT p_data; /*変数の宣言*/ TMO tmout = 3600; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ /*データの受信(タイムアウト付き)*/ ercd = trcv_dtq ( dtqid, &p_data, tmout ); if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_TMOUT ) { ............ /*タイムアウト処理*/ ............ } ............ ............ } |
- ref_dtq
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー詳細情報(待ちタスクの有無,未受信データの総数など)をパラメータpk_rdtqで指定された領域に格納します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータdtqidで指定されたデータ・キューのデータ・キュー詳細情報(待ちタスクの有無,未受信データの総数など)をパラメータpk_rdtqで指定された領域に格納します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include <kernel.h> /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include <kernel_id.h> /*システム情報ヘッダ・ファイルの定義*/ void task ( VP_INT exinf ) { ID dtqid = 1; /*変数の宣言,初期化*/ T_RDTQ pk_rdtq; /*データ構造体の宣言*/ ID stskid; /*変数の宣言*/ ID rtskid; /*変数の宣言*/ UINT sdtqcnt; /*変数の宣言*/ ............ ............ ref_dtq ( dtqid, &pk_rdtq ); /*データ・キュー詳細情報の参照*/ stskid = pk_rdtq.stskid; /*データ送信待ちタスクの有無の獲得*/ rtskid = pk_rdtq.rtskid; /*データ受信待ちタスクの有無の獲得*/ sdtqcnt = pk_rdtq.sdtqcnt; /*未受信データの総数の獲得*/ ............ ............ } |