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1.1.2 解析情報の種別

解析ツールが取得/解析/表示する情報には,次の2つの種別があります。

(1)

静的解析情報

コンパイル・エラー,またはアセンブル・エラーが発生することなくビルドが完了した時点で表示可能となり,ビルド・ツールが生成したロード・モジュール,およびクロス・リファレンス情報を解析した関数情報/変数情報です。

したがって,静的解析情報を取得するためには,使用するビルド・ツールにおいて,ビルドの際にクロス・リファレンス情報を生成する設定となっている必要があります。

ただし,解析ツールでは,クロス・リファレンス情報をビルド・ツールに強制的に生成させる次のプロパティを用意しています。

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プロパティ パネル[設定]タブ→[全般]カテゴリ→[静的解析を有効にする]プロパティ

 

このプロパティを[はい]に設定することにより,ビルド・ツールの設定に依存することなく,クロス・リファレンス情報を生成することができます(この設定が[いいえ](デフォルト)の場合,現在のビルド・ツールの設定が優先されるため注意が必要です)。

(2)

動的解析情報

プログラムの実行によりデバッグ・ツールが取得したトレース・データ,リアルタイムRAMモニタ結果,またはカバレッジ結果を基に解析した関数情報/変数情報です。

したがって,動的解析情報を取得するためには,デバッグ・ツールのトレース機能RRM機能/RAMモニタ(疑似RRM)機能,またはカバレッジ機能【IECUBE】【E20【RX】】【シミュレータ】が有効化されている必要があります。

ただし,解析ツールでは,デバッグ・ツールのこれらの機能を強制的に有効化する次のプロパティを用意しています。

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プロパティ パネル[設定]タブ→[全般]カテゴリ→[動的解析を有効にする]プロパティ

 

このプロパティを[はい]に設定することにより,デバッグ・ツールの設定に依存することなく,上記のデバッグ・ツール機能を使用することができます(この設定が[いいえ](デフォルト)の場合,現在のデバッグ・ツールの設定が優先されるため注意が必要です)。

注意 1.

上記の設定を行ったのち,デバッグ・ツールと接続する必要があります。
または,デバッグ中にこの設定を変更した場合,デバッグ・ツールと再接続する必要があります。

注意 2.

使用するデバッグ・ツールがサポートしていない機能を有効化することはできません。
また,排他使用の機能を持つデバッグ・ツールの場合では,次の優先順位で機能を有効化します。
 トレース機能 >RRM機能/RAMモニタ(疑似RRM)機能>カバレッジ機能

注意 3.

リアルタイムOS「RIシリーズ」が提供しているプログラム解析ツール,またはタスク・アナライザ・ツールを使用している場合,動的解析情報を取得することはできません。

 

なお,デバッグ・ツールの各機能が解析ツールに提供する動的解析情報は次のとおりです。

(a)

トレース機能

プログラムの実行履歴をトレース・データとして収集する機能です。

トレース機能は,次の動的解析情報を提供します。

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実行時間(実行時間の割合/平均実行時間を含む)

-

実行回数(アクセス系(リード回数/ライト回数など)を含む)

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変数値(最大値/最小値を含む)

-

グラフ・データ(グラフ・データの取得方法がトレース・データ解析方式の場合)

注意 1.

【RH850】

-

【Full-spec emulator】【E1/E2/E20】
デバッグ・ツールのプロパティ パネルにおける,[デバッグ・ツール設定]タブ上の[トレース]カテゴリ内[トレースの取得対象設定]プロパティの指定により,動的解析情報の内容が異なります。

-

[デバッグ対象のコアのみ]を選択している場合(デフォルト)
デバッグ・ツールは,デバッグ・マネージャ パネルで選択しているPEnのみを対象にトレース・データを収集します。したがって,解析ツールもPEnのみを対象とした動的解析情報を表示します。

-

[全てのコア]を選択している場合
デバッグ・ツールは,全PEを対象にトレース・データを収集します。したがって,トレース・データ収集後,デバッグ・マネージャ パネルでPEnを切り替えることによって,解析ツールは対応した動的解析情報を表示します。

-

【シミュレータ】
デバッグ・ツールは,デバッグ・マネージャ パネルで選択しているPEnのみを対象にトレース・データを収集します。したがって,解析ツールもPEnのみを対象とした動的解析情報を表示します。

注意 2.

【Full-spec emulator】【IECUBE】【E1/E20/E2【RH850】】【シミュレータ】
実行時間を正しく取得するために,デバッグ・ツールのプロパティ パネルにおいて,次の指定を行ってください。

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[デバッグ・ツール設定]タブ→[トレース]カテゴリ→[実行前にトレース・メモリをクリアする]プロパティ→[はい](デフォルト)

注意 3.

【E20【RX】】
プログラム実行中にトレース パネル上のコンテキスト・メニューの[トレース停止]/[トレース開始]を選択すると,実行時間が不正な値となります。

注意 4.

【E1/E2/E2 Lite/E20【RX】】【EZ Emulator【RX】】
トレース・タイム・タグ機能をサポートしていないデバイスの場合,関数の実行時間は表示されません。また,トレース・データ解析方式によるグラフ表示を行う場合,時間表示が正確ではありません。

注意 5.

【E20【RX】】
デバッグ・ツールのプロパティ パネルにおいて,[デバッグ・ツール設定]タブ上の[トレース]カテゴリ内[トレース・データの種別]プロパティで[分岐]を選択している場合,分岐命令間の命令を補完するため,トレース・データによる動的解析情報の取得に時間がかかります。
なお,変数のみに着目する場合は,同プロパティで[データアクセス]を選択することを推奨します。

注意 6.

【E1/E2/E2 Lite/E20/COM Port【RL78】】【EZ Emulator【RL78】】
トレース・データから“分岐元アドレス”のみが取得できるため,関数一覧 パネルコール・グラフ パネルにおける[実行回数]項目のみのサポートとなります。

(b)

RRM機能/RAMモニタ(疑似RRM)機能

プログラム実行中にリアルタイムにメモリ(変数/レジスタ/アドレス等)の内容を読み込む機能です。

RRM機能/RAMモニタ(疑似RRM)機能は,次の動的解析情報を提供します。

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グラフ・データ(グラフ・データの取得方法がリアルタイム・サンプリング方式の場合

【E1/E2/E2 Lite/E20/COM Port【RL78】】
選択しているマイクロコントローラがSmart Analog IC搭載品では,デバッグ・ツールがデータ収集モードに設定されている場合を除きます。
この場合は,Smart Analog専用のサンプリング方式によりデータ収集を行いグラフを表示します。

注意

【RH850】

-

変数値/アドレス
デバッグ・マネージャ パネルで選択しているPEnのPC値を基にアドレスと値を決定します。

-

レジスタ値
デバッグ・マネージャ パネルで選択しているPEnの値を取得します。

-

対象領域
全PEのアクセスを対象に読み込み可能です。
ただし,Local RAM self領域については,デバッグ・マネージャ パネルで選択しているPEnのみが対象となります。

備考

RRM機能/RAMモニタ(疑似RRM)機能により読み込みが可能な対象領域は,プロジェクトで選択しているマイクロコントローラ,および使用するデバッグ・ツールの種類により異なります(RRM機能/RAMモニタ(疑似RRM)機能とその対象領域の関係についての詳細は,「CS+ デバッグ・ツール編」を参照してください)。

(c)

カバレッジ機能【IECUBE】【E20【RX】】【シミュレータ】

カバレッジ測定を行う機能です。

カバレッジ機能は,次の動的解析情報を提供します。

-

コード・カバレッジ率

-

データ・カバレッジ率

注意 1.

【E20【RX】】
選択しているマイクロコントローラがカバレッジ機能をサポートしている場合のみ,コード・カバレッジ率を測定します(データ・カバレッジ率の測定はサポートしていません)。

注意 2.

【シミュレータ【RH850】】
全PEのアクセスを対象にカバレッジ測定を行います。
ただし,Local RAM self領域については,デバッグ・マネージャ パネルで選択しているPEnのアクセスのみを対象に測定を行います。