第14章  コンフィギュレータCF78V4


本章では,RI78V4がシステム構築時に有益なユーティリティ・ツールとして提供しているコンフィギュレータCF78V4について解説しています。

14.1 概  要

RI78V4が提供している機能を利用したシステム(ロード・モジュール)を構築する場合,RI78V4に提供するデータを保持した情報ファイルが必要となります。

基本的に情報ファイルは,規定された形式のデータ羅列であるため,各種エディタを用いて記述することは可能です。

しかし,情報ファイルは,記述性/可読性の面で劣った内容となっているため,記述に際しては,時間と労力が必要となります。

そこで,RI78V4では,記述性/可読性の面で優れたシステム・コンフィギュレーション・ファイルから情報ファイルを生成するユーティリティ・ツール(コンフィギュレータCF78V4)を提供しています。

CF78V4は,入力ファイルとしてシステム・コンフィギュレーション・ファイルを読み込み,出力ファイルとして情報ファイルを出力します。

以下に,CF78V4が出力する情報ファイルについて示します。

- システム情報テーブル・ファイル
RI78V4が動作するうえで必要となるOS資源に関するデータを保持した情報ファイルです。


- システム情報ヘッダ・ファイル
システム・コンフィギュレーション・ファイルに記述されたオブジェクト名(タスク名,セマフォ名など)とIDの対応付けを保持した情報ファイルです。
なお,CF78V4では,C言語用,アセンブリ言語用の2種類のシステム情報ヘッダ・ファイルを出力させることができます。



- 割り込み情報定義ファイル
システム・コンフィギュレーション・ファイルに記述された割り込みハンドラに関する情報を保持したファイルです。




14.2 起動方法

14.2.1 コマンド・ラインからの起動

以下に,CF78V4をコマンド・ラインから起動する際の方法を示します。

ただし,入力例中の“C>”はコマンド・プロンプトを,“△”はスペース・キーの入力を,“[Enter]”はエンター・キーの入力を表しています。

また,“[ ]”で囲まれた起動オプションは,省略可能な起動オプションであることを表しています。

 
C> cf78v4.exe△[ @command file ]△[ -cpu△<name> ]△[ -devpath=path ]△[ -i△<SIT file> | -ni ]△[ -dc△<C header file> | -ndc ]△[ -da△<ASM header file> | -nda ]△[ -V ]△[ -help ]△<CF file> [Enter]



以下に,各起動オプションの詳細を示します。

- @command file
CF78V4への入力ファイル名“コマンド・ファイル”を指定します。


省略時 コマンド・ライン上で指定された起動オプションが有効となります。

備考1 入力ファイル名command fileとして指定可能な文字列は,255文字以内(パス名を含む)に限られます。

備考2 コマンド・ファイルについての詳細は,「14.2.3 コマンド・ファイル」を参照してください。

- -cpu△<name>
ターゲット・デバイスの品種指定名を指定します。

省略時 基本クロック用タイマ割り込み要因tim_intnoや割り込みハンドラの割り込み要因inhnoに“デバイス・ファイルで規定されている割り込み要因名”を用いた定義が行えなくなります。

- -devpath=path
-cpu△<name>で指定されたターゲット・デバイスに対応したデバイス・ファイルをpathフォルダから検索します。

省略時 カレント・フォルダに対して検索処理を行います。

- -i△<SIT file>
CF78V4からの出力ファイル名“システム情報テーブル・ファイル”を指定します。


省略時 -i△sit.asmが指定されていたものとして処理を行います。

備考 出力ファイル名<SIT file>として指定可能な文字列は,255文字以内(パス名を含む)に限られます。

- -ni
システム情報テーブル・ファイルの出力を抑制します。


省略時 -i△sit.asmが指定されていたものとして処理を行います。

- -dc△<C header file>
CF78V4からの出力ファイル名“システム情報ヘッダ・ファイル(C言語用)”を指定します。


省略時 -dc△kernel_id.hが指定されていたものとして処理を行います。

備考 出力ファイル名<C header file>として指定可能な文字列は,255文字以内(パス名を含む)に限られます。

- -ndc
システム情報ヘッダ・ファイル(C言語用)の出力を抑制します。


省略時 -dc△kernel_id.hが指定されていたものとして処理を行います。

- -da△<ASM header file>
CF78V4からの出力ファイル名“システム情報ヘッダ・ファイル(アセンブリ言語用)”を指定します。


省略時 -da△kernel_id.incが指定されていたものとして処理を行います。

備考 出力ファイル名<ASM header file>として指定可能な文字数は,255文字以内(パス名を含む)に限られます。

- -nda
システム情報ヘッダ・ファイル(アセンブリ言語用)の出力を抑制します。


省略時 -da△kernel_id.incが指定されていたものとして処理を行います。

- -V
CF78V4のバージョン情報を標準出力に出力します。


備考 CF78V4では,本起動オプションが指定された場合,“他の起動オプションは,無効な起動オプション”として扱い,情報ファイルの出力を抑制します。

- -help
CF78V4の起動オプションに関する情報(種類,用途など)を標準出力に出力します。


備考 CF78V4では,本起動オプションが指定された場合,“他の起動オプションは,無効な起動オプション”として扱い,情報ファイルの出力を抑制します。

- <CF file>
CF78V4への入力ファイル名“システム・コンフィギュレーション・ファイル”を指定します。


備考1 入力ファイル名<cf file>として指定可能な文字列は,255文字以内(パス名を含む)に限られます。

備考2 本入力ファイル名は,-V,または-helpを指定した場合に限り省略することができます。

14.2.2 CS+からの起動

プロパティ パネル[システム・コンフィギュレーション・ファイル関連情報]タブで設定した内容に基づき,CS+のビルド時に起動されます。

14.2.3 コマンド・ファイル

CF78V4では,コマンド・ライン上で指定可能な起動オプションの文字数制限を解消する目的からコマンド・ファイル対応を行っています。

以下に,コマンド・ファイルの記述形式を示します。

1 ) コメント行
行頭に#が記述された行については,コメント行として扱われます。


2 ) 起動オプションの区切り
起動オプションと起動オプションは,スペース・コード,タブ・コード,または改行コードで区切ります。


備考 “-i△<SIT file>”,“-dc△<C header file>”,“-da△<ASM header file>”といった-xxx部とパラメータ部から構成される起動オプションでは,-xxx部とパラメータ部をスペース・コード,タブ,コード,または改行コードで区切ります。
なお,パラメータ部で“空白文字を含むフォルダ名”を指定する際には,図14−1で示したようにパラメータ部を“"”で括ります。


3 ) 文字数制限
コマンド・ファイルの最大行数は50行,1行当たりの最大文字数は4096文字です。


以下に示した記述例では,“システム・コンフィギュレーション・ファイルCF_file.cfgをカレント・フォルダから読み込んだのち,システム情報テーブル・ファイルsit_file.asmをフォルダC:\Program Files\tmpに出力,システム情報ヘッダ・ファイル(C言語用)C_header.hをフォルダC:\tmpに出力,システム情報ヘッダ・ファイル(アセンブリ言語用)ASM_header.incをフォルダC:\tmpに出力”といった場合の起動オプションが記述されています。

図14−1  コマンド・ファイルの記述例

 # Command File
 -i "C:\Program Files\tmp\sit_file.asm"
 -dc C:\tmp\C_header.h
 -da
 "C:\tmp\ASM_header.inc"
 CF_file.cfg


14.2.4 コマンド入力例

以下に,CF78V4のコマンド入力例を示します。

ただし,入力例中の“C>”はコマンド・プロンプトを,“△”はスペース・キーの入力を,“[Enter]”はエンター・キーの入力を表しています。

1 ) コマンド・ファイルcmd_fileをカレントフォルダから読み込んだのち,cmd_file内に定義されている起動オプションを実行します。

 
C> cf78v4.exe△@cmd_file [Enter]



2 ) システム・コンフィギュレーション・ファイルCF_file.cfgをカレント・フォルダから読み込んだのち,システム情報テーブル・ファイルsit_file.asm,システム情報ヘッダ・ファイル(C言語用)C_header.h,システム情報ヘッダ・ファイル(アセンブリ言語用)ASM_header.incをカレント・フォルダに出力します
(指定デバイス型名R5F10A6A,デバイスファイルパスは
”C:\Program Files\Renesas Electronics\CS+\CC\Device\RL78\Devicefile”)。



 
C> cf78v4.exe△-cpu△R5F10A6A△

-devpath=”C:\Program Files\Renesas Electronics\CS+\CC\Device\RL78\Devicefile”△

-i△sit_file.asm△-dc△C_header.h△-da△ASM_header.inc△CF_file.cfg [Enter]



3 ) システム・コンフィギュレーション・ファイルCF_file.cfgをカレント・フォルダから読み込んだのち,システム情報テーブル・ファイルsit.asm,システム情報ヘッダ・ファイル(C言語用)kernel_id.h,システム情報ヘッダ・ファイル(アセンブリ言語用)kernel_id.incをカレント・フォルダに出力します。

 
C> cf78v4.exe△CF_file.cfg [Enter]



4 ) システム・コンフィギュレーション・ファイルCF_file.cfgをフォルダC:\tmpから読み込んだのち,システム情報テーブル・ファイルsit_file.asm,システム情報ヘッダ・ファイル(C言語用)C_header.hをフォルダC:\tmpに出力します。

 
C> cf78v4.exe△-i△C:\tmp\sit_file.asm△-dc△C:\tmp\C_header.h△-nda△C:\tmp\CF_file.cfg [Enter]



5 ) システム・コンフィギュレーション・ファイルCF_file.cfgをフォルダC:\tmpから読み込んだのち,システム情報テーブル・ファイルsit_file.asmをフォルダC:\Program Files\tmpに出力します。

 
C> cf78v4.exe△-i△”C:\Program Files\tmp\sit_file.asm"△-ndc△-nda△C:\tmp\CF_file.cfg [Enter]



6 ) CF78V4のバージョン情報を標準出力に出力します。

 
C> cf78v4.exe△-V [Enter]



7 ) CF78V4の起動オプションに関する情報(種類,用途など)を標準出力に出力します。

 
C> cf78v4.exe△-help [Enter]