第5章 タスク付属同期機能
- slp_tsk
自タスクをRUNNING状態からWAITING状態(起床待ち状態)へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,自タスクの起床要求がキューイングされていた(起床要求カウンタ > 0)場合には,状態操作処理は行わず,起床要求カウンタから1を減算します。
なお,起床待ち状態の解除は,以下の場合に行われます。
自タスクをRUNNING状態からWAITING状態(起床待ち状態)へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,自タスクの起床要求がキューイングされていた(起床要求カウンタ > 0)場合には,状態操作処理は行わず,起床要求カウンタから1を減算します。
なお,起床待ち状態の解除は,以下の場合に行われます。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ ............ ercd = slp_tsk ( ); /*起床待ち状態への移行(永久待ち)*/ if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ } ............ } |
- tslp_tsk
自タスクをRUNNING状態からタイムアウト付きのWAITING状態(起床待ち状態)へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,自タスクの起床要求がキューイングされていた(起床要求カウンタ > 0)場合には,状態操作処理は行わず,起床要求カウンタから1を減算します。
なお,起床待ち状態の解除は,以下の場合に行われます。
自タスクをRUNNING状態からタイムアウト付きのWAITING状態(起床待ち状態)へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,自タスクの起床要求がキューイングされていた(起床要求カウンタ > 0)場合には,状態操作処理は行わず,起床要求カウンタから1を減算します。
なお,起床待ち状態の解除は,以下の場合に行われます。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考2参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考2参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ TMO tmout = 3600; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ercd = tslp_tsk ( tmout ); /*起床待ち状態への移行(タイムアウト付き)*/ if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ } else if ( ercd == E_TMOUT ) { ............ /*タイムアウト処理*/ } ............ } |
- wup_tsk,iwup_tsk
パラメータtskidで指定されたタスクをWAITING状態(起床待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象タスクが起床待ち状態以外の場合には,状態操作処理は行わず,起床要求カウンタに1を加算します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータtskidで指定されたタスクをWAITING状態(起床待ち状態)からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象タスクが起床待ち状態以外の場合には,状態操作処理は行わず,起床要求カウンタに1を加算します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考2参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考2参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ID tskid = 8; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ wup_tsk ( tskid ); /*タスクの起床*/ ............ ............ } |
備考1 RI600PXが管理する起床要求カウンタは,8ビット幅で構成されています。このため,本サービス・コールでは,起床要求数が255回を超える場合には,起床要求のキューイング(起床要求カウンタの加算処理)は行わず,戻り値としてE_QOVRを返します。
- can_wup,ican_wup
パラメータtskidで指定されたタスクにキューイングされている起床要求をすべて解除(起床要求カウンタに0を設定)します。
なお,本サービス・コールは戻り値として解除した起床要求数を返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータtskidで指定されたタスクにキューイングされている起床要求をすべて解除(起床要求カウンタに0を設定)します。
なお,本サービス・コールは戻り値として解除した起床要求数を返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ER_UINT ercd; /*変数の宣言*/ ID tskid = 8; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ ercd = can_wup ( tskid ); /*起床要求の解除*/ if ( ercd >= 0 ) { ............ /*正常終了処理*/ ............ } ............ ............ } |
- rel_wai,irel_wai
パラメータtskidで指定されたタスクのWAITING状態を強制的に解除します。これにより,対象タスクは待ちキューから外れ,WAITING状態からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
なお,本サービス・コールの発行によりWAITING状態を解除されたタスクには,WAITING状態へと遷移するきっかけとなったサービス・コール(slp_tsk,wai_semなど)の戻り値としてE_RLWAIを返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータtskidで指定されたタスクのWAITING状態を強制的に解除します。これにより,対象タスクは待ちキューから外れ,WAITING状態からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からSUSPENDED状態へと遷移します。
なお,本サービス・コールの発行によりWAITING状態を解除されたタスクには,WAITING状態へと遷移するきっかけとなったサービス・コール(slp_tsk,wai_semなど)の戻り値としてE_RLWAIを返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考3参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考3参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ID tskid = 8; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ rel_wai ( tskid ); /*WAITING状態の強制解除*/ ............ ............ } |
備考1 本サービス・コールでは,解除要求のキューイングが行われません。このため,対象タスクがWAITING状態またはWAITING-SUSPENDED状態以外の場合には,戻り値としてE_OBJを返します。
- sus_tsk,isus_tsk
パラメータtskidで指定されたタスクをRUNNING状態からSUSPENDED状態へ,READY状態からSUSPENDED状態へ,またはWAITING状態からWAITING-SUSPENDED状態へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象タスクがSUSPENDED状態またはWAITING-SUSPENDED状態へと遷移していた場合には,戻り値としてE_QOVRを返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータtskidで指定されたタスクをRUNNING状態からSUSPENDED状態へ,READY状態からSUSPENDED状態へ,またはWAITING状態からWAITING-SUSPENDED状態へと遷移させます。
ただし,本サービス・コールを発行した際,対象タスクがSUSPENDED状態またはWAITING-SUSPENDED状態へと遷移していた場合には,戻り値としてE_QOVRを返します。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ID tskid = 8; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ sus_tsk ( tskid ); /*SUSPENDED状態への移行*/ ............ ............ } |
- rsm_tsk,irsm_tsk
パラメータtskidで指定されたタスクをSUSPENDED状態からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からWAITING状態へと遷移させます。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータtskidで指定されたタスクをSUSPENDED状態からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からWAITING状態へと遷移させます。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考3参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考3参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ID tskid = 8; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ rsm_tsk ( tskid ); /*SUSPENDED状態の解除*/ ............ ............ } |
備考1 本サービス・コールでは,解除要求のキューイングが行われません。このため,対象タスクがSUSPENDED状態またはWAITING-SUSPENDED状態以外の場合には,戻り値としてE_OBJを返します。
備考2 RI600PXでは,サスペンド要求のキューイング機能はサポートしていません。サスペンド要求のキューイングも含めてSUSPEND要求を解除するfrsm_tsk,ifrsm_tskもサポートしていますが,これらの振る舞いはrsm_tsk,irsm_tskと同じです。
- frsm_tsk,ifrsm_tsk
パラメータtskidで指定されたタスクをSUSPENDED状態からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からWAITING状態へと遷移させます。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
パラメータtskidで指定されたタスクをSUSPENDED状態からREADY状態へ,またはWAITING-SUSPENDED状態からWAITING状態へと遷移させます。
以下に,本サービス・コールの記述例を示します。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考3参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考3参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ID tskid = 8; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ frsm_tsk ( tskid ); /*SUSPENDED状態の強制解除*/ ............ ............ } |
備考1 本サービス・コールでは,解除要求のキューイングが行われません。このため,対象タスクがSUSPENDED状態またはWAITING-SUSPENDED状態以外の場合には,戻り値としてE_OBJを返します。
- dly_tsk
自タスクをパラメータdlytimで指定された遅延時間が経過するまでの間,RUNNING状態からWAITING状態(時間経過待ち状態)へと遷移させます。
なお,時間経過待ち状態の解除は,以下の場合に行われます。
自タスクをパラメータdlytimで指定された遅延時間が経過するまでの間,RUNNING状態からWAITING状態(時間経過待ち状態)へと遷移させます。
なお,時間経過待ち状態の解除は,以下の場合に行われます。
#include "kernel.h" /*標準ヘッダ・ファイルの定義*/ #include "kernel_id.h" /*cfg600pxが出力するヘッダ・ファイルの定義*/ #pragma task Task1 /*備考2参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ); /*備考2参照*/ void Task1 ( VP_INT exinf ) { ER ercd; /*変数の宣言*/ RELTIM dlytim = 3600; /*変数の宣言,初期化*/ ............ ............ ercd = dly_tsk ( dlytim ); /*時間経過待ち状態への移行*/ if ( ercd == E_OK ) { ............ /*正常終了処理*/ ............ } else if ( ercd == E_RLWAI ) { ............ /*強制終了処理*/ ............ } ............ ............ } |